火山噴火を駆動する巨大マグマ貯留域の「縁」のマグマ―桜島火山・霧島火山の地下構造から提案するマグマ供給系の新しい描像―

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 火山の地下にマグマがどのように蓄えられ、どこを上昇して噴火に至るのかは、火山の理解や、噴火予測の根幹に関わる重要課題です。

 宇津木充 理学研究科准教授、相澤広記 九州大学准教授および小山崇夫 東京大学准教授、上嶋誠 同教授、神田径 東京科学大学准教授、角野浩史 東京大学教授らの研究グループは、活発な活動を続ける桜島火山、霧島火山においてMT法電磁探査を実施し、両火山の地下には共通して、巨大で長寿命な珪長質マグマ貯留領域に対応すると考えられる電気を流しやすい領域(低比抵抗領域)が存在することを明らかにしました。その一方で、GNSS観測等で検出される地下の膨張・収縮源は、こうした巨大な貯留領域そのものではなく、その端部に位置する、より局所的で寿命の短いマグマ貯留域に対応していることが示唆されました。噴火時に地表へ向かうマグマは、巨大マグマ貯留域全体から一様に供給されるのではなく、その縁辺部を通って上昇することが示唆され、人間の時間スケールで観測される噴火現象の多くは、巨大系そのものではなく、その縁辺部のごく一部の活動として理解できることが提案されました。

 本研究成果に基づく二編の学術論文は、2026年3月9日に国際学術誌「Earth, Planets and Space」、2026年4月10日に国際学術誌「Geophysical Research Letters」に掲載されました。

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2011年1月に発生した霧島新燃岳の噴火(撮影:柚木耕二)。噴煙を火口から高度8000mまで噴出する3回の大規模な噴火により、約0.03 km³のマグマが放出された。そのマグマは、地下の巨大マグマ貯留域の端部から放出されたが、その量は地下のマグマ総量の0.01% 以下に過ぎないと推定された。
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