嶌田遼太 理学研究科博士後期課程学生、Lucy O. McNeill 同助教を中心とした国際研究グループは、大質量星内部での自転率進化を支配する新たな物理モデルを構築しました。
恒星は一生を通じて自転率を減少させると考えられていますが、従来の理論では観測されている自転率を正確に再現できないという長年の課題があります。本研究では、重力崩壊直前の大質量星内部の酸素燃焼殻に関する3次元電磁流体計算の解析を行いました。特に、自転率進化をもたらしている磁場による角運動量輸送が、太陽型星で知られる角運動量輸送理論を満たすことを発見しました。この結果を踏まえて、磁場による角運動量輸送の新たなモデルを構築し、自転率の減速のみならず、特定の条件下では加速も起こり得る多様な自転率進化メカニズムを示唆しました。
今回の成果は、恒星進化理論において課題が残っている対流層における角運動量輸送の理解を大きく前進させるものです。また、多様な自転率進化はミリ秒マグネターのようなエキゾチックな天体の形成を紐解くための重要な一歩だと考えられます。
本研究成果は、2026年4月27日に、国際学術誌「The Astrophysical Journal」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「一般的に、恒星の自転率は理論上の予測よりも10倍ほど遅くなっています。そのため、理論研究者は、恒星内部の自転を減速させるための効率的なプロセスを探求しています。しかし、一部の大質量星は、その寿命を終える際、極めて高速で回転する核を持っていなければならないことも分かっています。そうでなければ、ミリ秒マグネターのようなエキゾチックな恒星の存在を説明できないからです。このため、今回恒星内部が加速したという結果を見て非常に驚きました。」(Lucy O. McNeill)
「大質量星の3次元電磁流体計算における、自転率の加減速と、対流に対する自転の影響の間に明確な対応関係が見られたことは驚きでした。この対応関係は、太陽型星対流層における3次元電磁流体計算の結果とよく似ています。対流、回転、磁場の相互作用が、恒星の進化段階に関わらず普遍的な性質である可能性が示唆されたことは興味深いです。」(嶌田遼太)
【DOI】
https://doi.org/10.3847/1538-4357/ae53da
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/300569
【書誌情報】
Ryota Shimada, Lucy O. McNeill, Vishnu Varma, Keiichi Maeda, Takaaki Yokoyama, Bernhard Müller (2026). Angular Momentum Transport in the Convection Zone of a 3D MHD Simulation of a Rapidly Rotating Core-collapse Progenitor. The Astrophysical Journal, 1002, 1, 66.